2011年06月17日
川本 裕子 | 早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授 | 経歴はこちら>> |
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世界から知恵を集める
昨今、企業の「英語公用語」の議論が盛んになった。社員が殆ど日本人である企業で英語で話すのは効率が悪いという意見もあるが、世界中から英知を集めるためには、会議の中に一人でも日本語を母国語としない人がいれば英語で話すという考え方は大きな意味がある。世界で戦っていくのなら、ビジネスの場面で英語を公用語とするのは、論理的な帰結だろう。
これらの時代の趨勢を見て、小学校でも英語の授業が始まっているし、英語に熱心な若い世代も増えていると思う。英語をいつから学ぶか、母国語たる日本語の習熟が先ではないかという論争は尽きないが、ごく幼い時期の言語習得時を除いて、同じ言語能力なのだから、英語も日本語も上手になるように、みなが努力すればよいように思う。日本語しか話せなければ、1億2000万人(プラス若干の日本語習得者)としか会話できないが、他の言語ができれば、会話できる相手の人数は格段に増え、人生の意味が縦横に豊かになることは請け合いだ。
日本人の英語能力は話す聞くよりも、読み書きの方が得意という傾向がある。そうであれば、得意な英語の読解力強化から始めるのも一つの手だ。企業の経営陣など現役世代だけでなく、社会的に大きな影響をもつリタイア層も含めて英語の新聞や書物を情報源や意見交換のメディアとしてもっと活用する。そうすれば日本における様々な議論が多層的・多面的になり、従って生産的になる。日本における英語力の強化は厳しい宿題と考えるよりも、豊かさ・幸せへの大いなる助力と考えて取り組むべきではないか。そんなことを考えさせられた。
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