2011年06月17日
川本 裕子 | 早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授 | 経歴はこちら>> |
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厚い原作の中では、最終的に巨額の資金の出し手となった日本の銀行と米投資銀行とがトップ間で信頼関係を築いたことも描かれているという。ビジネスの細かい契約部分で通訳は必要であろうし、直接英語で話しているかは別として結果は良かったと評価することも可能だろう。しかし、日本の銀行が成長の場を求めて再び海外戦略を練り直そうという今このときに、対外コミュニケーション力の弱さはやはりどうしても心配になる。
要するに怠惰?
一方で、日本企業の現地法人では、現地に根付き、言葉をマスターし、ローカルスタッフのハートをしっかり捕まえて経営をしている日本人マネジャーたちもたくさんいる。彼らがいるからこそ、日本製品は海外でよく売れてきたし、技術や製品の評価を得てきている。
しかし、それはあくまで海外支店・工場などの現場レベルでの話に止まっていないか。日本企業では若いうちは除いて、幹部に昇進するのは原則国内の同質的なグループから選択されていくことが依然多いのではないだろうか。内外一体の人事、さらには外部からの人材登用も積極化しなければ国際競争力の強化などは到底不可能である。
日本の政治家や行政トップが国会のため国際会議になかなか出られないので、日本の影が国際社会で薄い、といわれて久しい。今回のIMFの専務理事の選出でも、第3の資金拠出国にもかかわらず、候補を日本からという声はなかった。やはり、日本は極めて内向きなのである。
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