2011年12月07日
川本 裕子 | 早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授 | 経歴はこちら>> |
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野田総理は、11月のホノルルのAPEC首脳会議で環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への交渉参加を表明し、オバマ米国大統領もこれを歓迎した。TPPは米国を含む環太平洋の9カ国(シンガポール、NZ、チリ、ブルネイ、豪、ペルー、ベトナム、マレーシア)が2010年3月から交渉を開始している包括的な自由化協議である。
日本の交渉参加の表明の動きはカナダ、メキシコにも影響を与えたと見え、両国も同時に参加の意向を示した。こうした環太平洋での大幅な自由化の動きに、日本が大きな影響を与えたことの意義は大きい。
G8やG20で「日本の○○の主張が認められた」など、手前味噌的な政府発表を無批判に報道する事例も散見する。今回こそは日本が久方ぶりに国際的な大舞台の「ゲーム・チェンジャー」となったわけであり、それに相応しい評価があってもよさそうなものだが、メディアの国際政治面での扱いは平板な印象がある。残念なことだ。
さらに、TPPを巡る日本での議論については、自由な貿易・投資が20世紀後半以降の世界の平和と繁栄の礎だったことをすっかり忘れている感もあり、基本に立ち戻る必要を痛感する。
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