2011年10月20日
川本 裕子 | 早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授 | 経歴はこちら>> |
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他方、日本の企業は国際比較では長らく低利益率に甘んじてきたのも事実であり、その意味では成長志向の経営努力が不足していると見られても仕方がない。むしろ日本の問題は真剣に持続的な利益を求める志向、戦略性が弱い点にあり、その結果としての経済成長の停滞がある。
売上を拡大し同時にコストを下げる努力を続けることで企業は利益を出す。そもそも利益を上げられなければ競争力の基になる投資もままならず、雇用も維持拡大できない。もちろん税金も納められない。企業にとって利益を上げていることは事業の持続可能性と社会的な存在価値の証左である。
日本経済界の育ての親ともいえる渋沢栄一は、高い道徳性と利益追求を両立しないものとしてきた伝統的な儒教の考え方は本来の孔子の教えとは違うとはっきり指摘していた。「仁義道徳を強調しすぎて利欲を否定すれば、国民の元気がなくなり、ついには亡国に至る」との主張は、格差是正など分配論が幅をきかし、本来あるべき成長政策や企業の利益追求を正面から語るのを躊躇しがちな現代日本にとって、まさに的を射た警鐘ともいえよう。
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