2011年10月20日
川本 裕子 | 早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授 | 経歴はこちら>> |
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今この局面での経済政策は、ミクロ面での成長促進策、すなわち企業活動を活性化する施策をどれだけ積み上げられるかにかかっている。様々な分野での規制改革や、対内投資の促進、税制面などでの企業活動への制約を取り払っていくことがどれほど強調されてもしすぎることはない。環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉への参加もこうした観点から推進していくべきものである。
例えば規制改革が日本政府によって重要な政策として取り上げられるようになって20年以上も経つが、曖昧化、先延ばし、揺り戻しが多く、大きな経済効果をもたらす抜本改革は少なかった。それどころか、そもそもなぜ規制改革が必要なのか、といった疑問が今でも提起される。メディアも含めて経済の基礎的な文脈が十分消化されてこなかったからだろうか。その意味で、規制改革を含む企業活動の活性化策が、日本サバイバルの不可欠の条件となっている現実をしっかりと見据えるべきだろう。
経済の基本的な理解という観点からすれば、企業活動と利益の関係についても疎かにしてはいけない。「利益至上主義」が安全軽視や金融危機の元凶となったという意見はよく聞かれる。しかし安全や金融などの規制を遵守することは企業活動の前提であり、利益追求と対立させることは本来おかしい。安全規制などを遵守しない企業に持続可能性はなく、利益を出しても短期しか続かないことは明白だ。「短期利益主義」を批判するならまだしも、利益追求と企業活動の大前提を対立概念で捉えている限りなかなか本質にたどりつけないのではないか。
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