2011年08月30日
川本 裕子 | 早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授 | 経歴はこちら>> |
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国民の信頼-約束は守る、できない約束はしない
軸がぶれないこと。前言を覆さないこと。郵政民営化反対者の復党などから躓き始めた政権の例もある。総理経験者は政界から引退と言う約束を反故にした例もある。国民に人気があるという理由で選ばれてもムードだけで持つ期間は極めて短い。政治とカネの問題も国民が忘れたなどと思わない方がいい。メディアの監視が覚束ないのは気になるが、インターネット時代に国民の目は誤魔化せない。まずは国民に誠実に向き合う姿勢が不可欠だろう。
政治しかできないことに注力する
国家財政のフレームワークや既得権益が絡む制度の変更の骨格など、政治しか決められないこと、政治が責任をとるべきことはきちんと政治家が決める。しかし、制度の設計などテクニカルな問題まで全部政治家が関与する必要はなく、決めた方向通りに官僚が進めているかを監視し、評価すればよい。「政治主導」という言葉だけが先行して結局官僚に丸投げという事態は避けなければならない。
既得権益を恐れないリーダーシップを
農業への企業の新規参入や医療システムの電子化など、抜本的改革の前に立ちはだかるのは既得権益集団だ。民主党にせよ自民党にせよ、個々の政治家が既得権益集団の圧力に弱い状況は変わらない。しかし、政治がこれに当たらず障らずの姿勢では、国民にプラスとなる改革などできるわけがないし、最終的には選挙でも勝てないのである。既得権益の抵抗をどう乗り越えるか、それに伴う党内の反論をどのように説得していくかが政治リーダーシップの本質だということは肝に銘ずべきことだろう。
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