新聞案内人詳細

2011年08月05日

川本 裕子 早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授 経歴はこちら>>

「想定外」の考察(2/3)

 これを一言簡明に表現すれば「リスク管理」ということになる。そして、リスク管理とは想定外の事態とは何か、を自ら孤独に考えることから始まると言ってよい。いわば、「想定外」を「想定内」に可能な限り取り込もうとする人間社会の営為である。
 例えば今、政府機関や企業に対する国際的なサイバー攻撃が大きな話題になっているが、ネット社会ではこうした突然やってくる脅威も決して他人事ではない。もちろん、不確実性を相手にしている以上、完全なリスク管理ということは可能でもないし、求めるべきでもない。重要なのは、「常在戦場」の緊張感を欠かさないリスク管理マインドであり、それを「見える化」し、行動にも組み込むシステムへの落とし込みである。責任者が軽々しく「寝耳に水だ」などと発言するとしたら、それこそが問題だということである。
 急激に進む円高も、史上最高値を超えるとなれば多くの人にとってはまさに「想定外」だろうが、想定為替レートは1㌦=何円なのかを定期的に見直しながら設定し、ヘッジ比率を常時把握・変更するシステムがあれば、リスクのかなりの部分には対処できる。

新聞案内人コラムへ投稿する

前回の新聞案内人

松山 幸弘
松山 幸弘 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹 経歴はこちら>>

総合特区制度と医療

 政府が新成長戦略の柱として創設する総合特区制度の基本方針案が明らかになった。総合特区制度とは、規制緩和や税財政支援を集中させて成長力の高い地域を創出することを目的としたものであり、本年6月に根拠法が・・・>>続き

2回前の新聞案内人

加来 耕三
加来 耕三
歴史家・作家

新幹線の生みの親・島秀雄

 先般、中国東部の浙江省・温州市で高速鉄道の衝突・脱線事故が発生した。  筆者は、昭和39年(1964年)10月1日に開業式をむかえた、世界で初めての超高速鉄道、東海道新幹線の“生みの親”で、国鉄技・・・>>続き

3回前の新聞案内人

池内 正人
池内 正人
元日本経済新聞経済部長・テレビ東京副社長

米ドル基軸制度の終焉 ?

 オバマ大統領とアメリカ議会首脳は7月31日夜、ようやく政府債務限度の引き上げ問題について妥協を成立させた。8月2日までに問題が解決しないと、アメリカ政府は新たな資金調達ができなくなり、国債の償還や利・・・>>続き

ご購読のお申し込み

3紙おすすめイベント

特集・座談会シリーズ

シリーズ座談会「日本のビジョン」
 シリーズ座談会「日本のビジョン」、第4回は「震災復興の今と課題」。朝日、日経、読売3紙の現地編集トップが被災地の生の姿を語り合いました。
出来事ファイル 2008-2012年
あらたにす開設以来の月別主要ニュースを号外と写真を中心に振り返ります。
少年の主張全国大会(わたしの主張2011)
全国の中学生による2011年「少年の主張」全国大会の模様をお伝えします。
シリーズ座談会「日本のビジョン
三紙の論説、編集委員が徹底討論。第3回は混乱する日本政治の再生を考えます。
JGA 3大オープンゴルフ特集
9月29日スタート!ゴルフ3大イベント「日本女子オープン」「日本オープン」「日本シニアオープン」を特集します。
シリーズ座談会「日本のビジョン」
朝日・日経・読売の編集委員が徹底討論。第二回は財政や税、復興資金などを多角的に考える「どうする復興財源」です。
シリーズ座談会「日本のビジョン」
朝日、日経、読売の論説・編集委員が徹底議論。第1回は原発事故を経た日本のエネルギー政策。
「2011年の世界」3紙座談会
国際問題担当エディター・編集委員が2011年の世界の注目点を議論しました。
【特別リポート】欧州財政再建と市民-英国の現場から
福祉切り下げや増税など、痛みを伴う改革への市民の反応を報告します。
3社論説トップ鼎談2010
鳩山政権が初めて迎えた新しい年。直面する「政治とカネ」「日米関係」「デフレ」などの問題に議論を交わしました。
麻生内閣総理大臣と鳩山民主党代表による党首討論(2009年8月12日)


3社論説トップ鼎談2009
あらたにす開設1周年 今年も論説委員会トップ3人が激論。
3紙「年金提言」座談会
老後を支える年金制度の改革案を議論しました。
2008年 3社論説トップ鼎談
社説を書く論説委員会トップ3人が年頭に激論。

あらたにす便り