2011年01月14日
川本 裕子 | 早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授 | 経歴はこちら>> |
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もう一つ、やはり最近、生命保険が売れていないという記事があった。契約件数減少の原因は「少子化」だと解説していた。しかし、これも少し単純な見方ではないかという気がした。そもそも、日本の生命保険契約数は国際的に見て極めて高く、市場規模としては、GDPで2倍以上あるアメリカとほぼ同規模である。社会保障のあり方などは国によって異なり、単純な比較は難しいが、アメリカと日本で世界の生命保険市場の半分以上を占めるというデータもある。生命保険市場はかなり前から飽和状態に近いのである。
生命保険が売れなくなっているのは、「家計の節約志向」もあるかもしれないし、さらに構造的要因も考えられる。もともと貯蓄型でない生命保険は有職主婦よりも無職主婦(専業主婦)のいる家庭で大きな役割を占めてきた。共働き世帯の方が専業主婦世帯よりも多くなって久しい。生命保険がその役割を根本から問われているのも事実である。生命保険の契約件数の減少の原因を、今はやりの「少子化」だけに求めるのではなく、こうして考えていく方が日本の社会や経済の実態により深く触れられる気がする。<
○伝統か短期的現象か
何が本当の変化なのかを見極めようとすれば、何が変わっていないのかも同時に見えてくるはずだ。戦後続いた慣習を日本の伝統で動かし難いように言う論調にも時々出会うが、どこまでが日本の本当の伝統で、何がここ数十年短期的に起こったことに過ぎないのか、これも見極めることは大事である。
本当に変化しているのは何なのか、変わっていないものは何なのか・・・年のはじめに、頭をクリアにして見ていきたい。
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